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田端は「買い」なのか?揺れない街の8年(2026年9月)

田端は北区の駅で、山手線と京浜東北線が停まる。山手線の駅でありながら、繁華街と呼べるものがない。駅の周りはすぐ住宅地になる。

その性格が、地価の形にはっきり出ていた。

まず数字でざっくり掴む

指標補足
公示地価 最高地点 202587.0万円/㎡東田端2丁目11番16(駅400m)
住宅地の最高地点77.7万円/㎡田端2丁目11番15(駅420m)
商業地と住宅地の差1.12倍12駅で最も小さい
前年比 2025+11.3%12駅で7番目
8年間の伸び 2018→20251.51倍商業地。住宅地は1.39倍
コロナ年(2021)の前年比-1.6%上野-4.0%、日暮里-3.0%

山手線の駅でありながら、最高地点が87万円/㎡になる。同じ山手線の池袋は1,700万円/㎡で、20倍の開きがある。

商業地と住宅地の差が、ほとんどない

2025年 地点別の㎡単価(田端駅から425m以内・公示地点) 東田端2-11(駅400m) 87.0 容積400% 田端2-11(駅420m) 77.7 容積300% 田端1-15(駅380m) 74.5 容積300% 万円/㎡

4地点が87.0万、77.7万、74.5万と、なだらかに並ぶ。商業地の最高地点と住宅地の最高地点の差は1.12倍しかない。

このシリーズの他の駅と比べると異常な近さになる。北千住は505万円と62.8万円で8倍、赤羽は470万円と63.4万円で7.4倍の差があった。

地点用途用途地域駅から容積率2025年8年の伸び
東田端2丁目11番16商業地近隣商業地域400m400%87.0万円/㎡1.51倍
田端2丁目11番15住宅地第一種住居地域420m300%77.7万円/㎡1.39倍
田端1丁目15番3住宅地第一種住居地域380m300%74.5万円/㎡1.39倍

用途地域を見ると理由が分かる。商業地の地点も「近隣商業地域」で、容積率は400%にとどまる。駅前に高い建物を建てられる区域がない。

山手線の駅で商業地域の指定がないというのは珍しい。この街は、鉄道の格に対して用途地域の設定が控えめになっている。

揺れない

最高地点(東田端2丁目11番16)の前年比 +0% +5% +10% +9.0 2019 +9.4 2020 -1.6 2021 +1.3 2022 +5.0 2023 +8.8 2024 +11.3 2025

2021年の-1.6%が唯一のマイナスで、翌年は+1.3%。上野-4.0%、日暮里-3.0%、池袋-2.8%と比べて、下げがはっきり浅い。

繁華街がないので、人が来なくなっても影響が小さい。住んでいる人の需要で成り立っている街の強みが、この年に出ている。

田端駅周辺の公示地価 2018→2025(円/㎡) 0万 20万 40万 60万 80万 100万 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 円/㎡ 東田端2-11 400% 田端2-11 300% 田端1-15 300%

4本の線がほぼ平行に上がっている。商業地1.51倍、住宅地1.39倍と1.39倍。街全体が同じ速度で動いている。

8年でどれだけ上がったか(各駅の最高公示地点 2018→2025) 北千住 2.15倍 赤羽 1.79倍 日暮里 1.68倍 王子 1.64倍 浦和 1.57倍 上野 1.55倍 田端 1.51倍 池袋 1.38倍 川口 1.31倍 南浦和 1.21倍 横軸は1.0倍を基点

12駅の中では下から5番目になる。速くはないが、遅くもない。

この街のリスク

ひとつ目は、伸びの上限になる。容積率400%が上限では、再開発で街の価値が跳ねる展開は起きにくい。用途地域を変えないかぎり、いまの構造が続く。

ふたつ目は、山手線の駅としての割安さが評価されにくいことになる。87万円/㎡は同じ路線の池袋の20分の1だが、それは利便性の差ではなく用途地域の差になる。安いのには理由がある。

みっつ目は、商業地と住宅地の差の小ささになる。裏を返すと、商業地を買っても住宅地に近い値動きしかしないということになる。

総合所見:山手線の住宅地として買うなら合う

田端は、山手線の駅でありながら住宅地の顔をしている。商業地と住宅地の単価差が1.12倍しかなく、コロナの下げも-1.6%で済んだ。

住むために買うなら、この安定は評価できる。山手線と京浜東北線が使えて、駅前が静かで、値動きが小さい。住居費を長期で固定したい人には向いている。

投資として値上がりを狙うなら向いていない。容積率400%が天井で、街全体が同じ速度でしか動かない。同じ8年の伸びなら、揺れの大きい上野(1.55倍)とほぼ変わらないが、上限の見え方が違う。

データについて

出典は国土交通省「不動産情報ライブラリ」の地価公示・地価調査のポイントになる。田端駅の中心から半径425メートル以内の地点を使い、折れ線と横棒は基準日の揃う公示(1月1日基準)だけで作っている。地価調査(7月1日基準)は基準日が違うので混ぜていない。

公示地価は実際の売買価格ではなく、国が選んだ標準地について不動産鑑定士が評価した価格になる。

地価データで街を読む特集はこちらにまとめています。各駅を地図で比べたい場合は土地の値段はなぜ違うから。