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上野は「買い」なのか?コロナで最も深く沈み、いま戻している街(2026年9月)

上野は台東区の駅で、JR各線・東京メトロ2線・京成が集まる。動物園、美術館、アメ横。この街の経済は、外から来る人の数で決まる部分が大きい。

その性格が、地価の動き方にそのまま出ていた。

まず数字でざっくり掴む

指標補足
公示地価 最高地点 2025245.0万円/㎡上野7丁目28番1(駅320m)
参考・地価調査の最高地点1,230.0万円/㎡上野6丁目109番1(駅130m)
前年比 2025+11.4%12駅で6番目
8年間の伸び 2018→20251.55倍12駅で6番目
コロナ年(2021)の前年比-4.0%12駅で最も深い
425m以内の住宅地の地点0か所すべて商業地

このシリーズで扱った駅のうち、コロナの年にいちばん深く沈んだのが上野になる。赤羽の-3.2%、池袋の-2.8%より下げている。

沈んで、戻した

前年比を年ごとに並べる。

最高地点(上野7丁目28番1)の前年比 -5% +0% +5% +10% +15% +8.9 2019 +16.3 2020 -4.0 2021 +1.6 2022 +4.1 2023 +8.4 2024 +11.4 2025

2019年+8.9%、2020年+16.3%と走ったあと、2021年に-4.0%。翌年は+1.6%とほぼ横ばいで、そこから+4.1%、+8.4%、+11.4%と戻している。

沈みの深さと戻りの速さがセットになっている。人が来なくなれば下がり、人が戻れば上がる。上野の地価はその素直な形をしている。

外から来る人の数で価値が決まる街は、良いときは強く、悪いときは弱い。この8年の並びは、その両面を1回ずつ見せている。

3地点とも同じ形で動く

上野駅周辺の公示地価 2018→2025(円/㎡) 0万 50万 100万 150万 200万 250万 300万 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 円/㎡ 上野7-28 700% 上野7-46 600% 東上野3-115 500%

3本の線が、ほとんど同じ形をしている。8年の伸びは1.52倍から1.64倍で、幅が狭い。

駅前だけが突出する北千住や赤羽とは違い、上野では街全体が同じ波に乗っている。個々の土地の条件より、街全体の集客力が効いているということになる。

8年でどれだけ上がったか(各駅の最高公示地点 2018→2025) 北千住 2.15倍 赤羽 1.79倍 日暮里 1.68倍 王子 1.64倍 浦和 1.57倍 上野 1.55倍 田端 1.51倍 池袋 1.38倍 川口 1.31倍 南浦和 1.21倍 横軸は1.0倍を基点

12駅の中では中位につけている。深く沈んだぶんを取り戻しきれていない、という見方もできる。

住宅地の標準地が1つもない

2025年 地点別の㎡単価(上野駅から425m以内・公示地点) 上野7-28(駅320m) 245.0 容積700% 上野7-46(駅180m) 208.0 容積600% 東上野3-115(駅360m) 125.0 容積500% 万円/㎡

駅から425メートル以内の地点は、すべて商業地になる。池袋、王子と同じで、住むための土地という区分がこの範囲に存在しない。

地点用途駅から容積率前面道路2025年8年の伸び
上野7丁目28番1商業地320m700%40.0m245.0万円/㎡1.55倍
上野7丁目46番2外商業地180m600%16.0m208.0万円/㎡1.64倍
東上野3丁目115番3外商業地360m500%8.0m125.0万円/㎡1.52倍

容積率700%、600%、500%の順に単価が並んでいる。駅からの距離は320メートル、180メートル、360メートルで順番になっていない。ここでも容積率のほうが効いている。

なお地価調査(7月1日基準)を含めると、駅から130メートルの上野6丁目が1,230万円/㎡で最も高い。基準日が違うので折れ線には入れていないが、駅前の一等地はこの水準になる。

この街のリスク

ひとつ目は、外的要因への弱さになる。-4.0%という下げは、この街が自分でコントロールできない要因で動くことを示している。次に同じことが起きれば、また同じように沈む。

ふたつ目は、戻りきっていないことになる。8年で1.55倍は、同じ東京23区の日暮里1.68倍、赤羽1.79倍より遅い。深く沈んだぶんが響いている。

みっつ目は、住む場所としての選択肢がないことになる。徒歩圏に住宅地の標準地がないので、住居費の目安が取れない。

総合所見:波に乗る覚悟がいる街

上野の地価は、外から来る人の数に連動している。良いときは+16%まで走り、悪いときは-4%まで沈む。

この振れ幅を受け入れられるなら、いまは戻りの局面にある。受け入れられないなら、振れの小さい街を選んだほうがいい。同じ8年で1.51倍の田端は、コロナの下げが-1.6%で済んでいる。

伸びの総量はほとんど変わらないのに、途中の揺れがまるで違う。どちらを選ぶかは、値動きにどれだけ耐えられるかの問題になる。

データについて

出典は国土交通省「不動産情報ライブラリ」の地価公示・地価調査のポイントになる。上野駅の中心から半径425メートル以内の地点を使い、折れ線と横棒は基準日の揃う公示(1月1日基準)だけで作っている。地価調査(7月1日基準)は基準日が違うので混ぜていない。 地価調査を含めた最高地点は本文中に別記した。

公示地価は実際の売買価格ではなく、国が選んだ標準地について不動産鑑定士が評価した価格になる。

地価データで街を読む特集はこちらにまとめています。各駅を地図で比べたい場合は土地の値段はなぜ違うから。