川口は「買い」なのか?荒川を渡ると上がり方が半分になる(2026年9月)
川口は埼玉県川口市の駅で、京浜東北線で赤羽の隣になる。間にあるのは荒川だけで、距離にすれば数キロしか離れていない。
それでも地価の動き方はまるで違っていた。
まず数字でざっくり掴む
| 指標 | 値 | 補足 |
|---|---|---|
| 公示地価 最高地点 2025 | 82.3万円/㎡ | 幸町2丁目3番12(駅600m) |
| 前年比 2025 | +6.9% | 隣の赤羽は+18.1% |
| 8年間の伸び 2018→2025 | 1.31倍 | 赤羽1.79倍の3分の2 |
| コロナ期(2021・2022) | 0.0%が2年 | 下げずに横ばいで耐えた |
| 所在 | 埼玉県川口市 | 東京駅まで約24分 |
赤羽の470万円/㎡に対して82.3万円/㎡で、単価は6分の1以下になる。駅の間隔でいえば1駅、時間にして3分の差しかない。
荒川を渡ると伸びが半分になる
9駅の中で川口は下から2番目になる。1駅隣の赤羽が上から2番目にいることを考えると、この落差は際立つ。
同じ路線の隣どうしで、1.79倍と1.31倍。都県境をまたぐだけで、8年間の積み上がりがこれだけ変わる。
上がり方は3地点ともそろっている
商業地の2地点が1.31倍と1.28倍、住宅地が1.30倍。ほとんど差がない。
街全体が同じ速度で、ゆっくり上がっている。駅前だけが突出する赤羽や北千住とは形が違う。
コロナを0.0%で2年耐えた
2021年と2022年が、どちらも0.0%になる。マイナスに落ちず、かといって上がりもしない。
この2年横ばいという形は、9駅の中で川口だけになる。池袋は2年続けて下げ、赤羽と王子と南浦和は1年下げ、浦和は1年横ばい、北千住は下げなかった。川口は2年間、値を保った。
工業と住宅が混在する街で、繁華街の色が薄い。人の流れが止まっても土地の評価が動きにくい構造になっている。
用途地域がばらけている
| 地点 | 用途 | 用途地域 | 駅から | 容積率 | 2025年 | 8年の伸び |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 幸町2丁目3番12 | 商業地 | 商業地域 | 600m | 400% | 82.3万円/㎡ | 1.31倍 |
| 幸町3丁目58番2外 | 商業地 | 近隣商業地域 | 580m | 300% | 70.1万円/㎡ | 1.28倍 |
| 中青木1丁目6番2 | 住宅地 | 準工業地域 | 950m | 200% | 45.6万円/㎡ | 1.30倍 |
住宅地の標準地が準工業地域に指定されている点が、この街の特徴になる。工場と住宅が同じ区域に混ざっている。
準工業地域は用途の制限がゆるく、住宅も工場も建てられる。裏を返すと、隣に何が建つか読みにくい。住むために買う場合、この点は現地で確認する必要がある。
最高地点が駅から600メートルというのも、他の駅とは違う。駅前ではなく、少し離れた商業集積のほうが高い。
この街のリスク
ひとつ目は、伸びの鈍さになる。1.31倍は9駅で下から2番目で、資産としての値上がりは期待しにくい。
ふたつ目は、赤羽との差が開き続けていることになる。2025年は+6.9%と+18.1%で、11ポイント以上の開きがある。差は縮まる方向に動いていない。
みっつ目は、準工業地域の混在になる。住環境の予測が立てにくく、将来の資産価値にも影響する。
総合所見:住居費を抑える選択としては合理的
川口の地価は、この特集の中では静かな部類になる。8年で1.31倍、コロナ期は2年横ばい。上がらないが下がらない。
赤羽の6分の1の単価で、都心まで3分しか変わらない。住居費を抑えるという目的なら、この差は大きな魅力になる。
一方で、資産として値上がりを狙うなら向いていない。荒川を渡った側の上昇に乗りたいなら、素直に東京都側を検討したほうが数字は合う。同じ路線でも、県境が結果を分けている。
データについて
出典は国土交通省「不動産情報ライブラリ」の地価公示・地価調査のポイントになる。川口駅の中心から半径425メートル以内の地点を使い、折れ線と横棒は基準日の揃う公示(1月1日基準)だけで作っている。地価調査(7月1日基準)は基準日が違うので混ぜていない。川口は公示地点が3か所と少ないため、記事中の数値はその3点に基づく。
公示地価は実際の売買価格ではなく、国が選んだ標準地について不動産鑑定士が評価した価格になる。
同じ京浜東北線の隣駅は赤羽で見ている。地価データで街を読む特集はこちらにまとめています。9駅をまとめて比べたい場合は土地の値段はなぜ違うから。