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資産の節目と、落ちた検定と、コンサルになりたい理由

誕生日に、資産がひとつの節目を超えた。それから84日で、そこからさらに1割増えた。

年率換算すれば50パーセントを超える数字が出るが、これは使わないほうがいい。84日という短い期間の伸びを4.35乗しているだけなので、たまたま良かった期間の影響が極端に増幅される。実際の内訳を見ても、毎月の積立と確定拠出年金による入金でまかなえたのは、増えた分の1割強にすぎない。残りは運用リターンということになるが、全体的に上がっていた時期なので、市場の追い風に乗っただけとも言える。

それでも、この数か月で積立を止めなかったことは事実だ。数字そのものより、続けたことのほうに価値がある気がしている。

やっていたことに名前がついていた

投資のスタイルを崩さないほうがいいと思っていたのだが、それを言葉にできていなかった。話しながら出てきたのは、基本はVTIで、下がったときに上がりそうな個別を狙う、というものだった。

調べてみると、これはコア・サテライト戦略と呼ばれる型だった。自分がやっていたことに名前がついていなかっただけで、構造としては筋が通っていたらしい。

言語化してみると、守るべきものと、まだ検証されていないものが分かれた。

・守るべきもの。入金の自動化。毎月の積立と確定拠出年金で、相場に関係なく続く部分。実際に計画を支えているのはこちら
・まだ検証されていないもの。銘柄の選択。3か月、しかも全体が上がっていた期間の成績では、選択が良かったのか市場に乗っただけなのか区別がつかない

この切り分けができると、どちらを触ってはいけないかがはっきりする。成績が良かったからといって、銘柄選択の腕を証明したことにはならない。証明されたのは、続ける仕組みのほうだ。

NISAは制約ではなく器の性格

資産の6割がNISAにあって、無闇に売れないという制約がある。ただこれは制約というより、器の性格だと考えたほうが扱いやすい。

NISAは売っても枠が戻るのが翌年で、損益通算もできない。つまり持ち続けるものを置く器だ。だとすれば、コアであるVTIをNISAに入れて放置し、サテライトは特定口座で機動的に動かす。一行にするとそうなる。

制約に合わせて戦略を歪めるのではなく、器の性格に沿って中身を配る。そう考えると、売れないことが不利ではなくなる。この考え方自体はほったらかし投資術のような本が繰り返し書いていることで、目新しくはない。ただ自分の口座で腑に落ちるまでには時間がかかった。

検定に落ちた

同じ日に、受けていた検定に落ちた。技術そのものの理解ではなく、それをどう位置づけ、どう構造として説明するかを問う種類の試験だ。

落ちた直後に浮かんだのは、仕切るより作るほうが得意なのかもしれない、という考えだった。だがこれは結論として飛びすぎている。試験に落ちたという事実から言えるのは、その試験の出題形式に対する準備が足りなかった、ということだけだ。適性の話ではない。

そして自分の場合、ここには前から見えているパターンがある。

分析の中身で負けたことはあまりない。負けるのはいつも、名前と形式を先に置く速さだ。回帰で残差を出してエリア差を消せますと言ったときは、簡単な方法と言われた。同じ問題意識が混合効果モデルという名前を着て戻ってきたら、設計として通った。中身は同じことをしている。違うのは呼び方と、構造の見せ方だけだった。

検定はまさにそこを測る試験だったのだと思う。だとすれば、落ちたことは診断としては正確で、対策もすでに分かっている。

消耗の正体は証明ではなく忠誠だった

コンサルタントになりたい理由を考えていて、いちばんぶれなかったのはこれだった。プロジェクトごとにやることが変わる。特定の会社を愛する必要がない。

自分を消耗させてきたのは、能力を証明しろと言われることではなかった。特定の会社への忠誠を求められることだった。帰属を争う場、組織の一員としての振る舞いを期待される場が、いちばん削れる。

コンサルは構造的に外部者だ。問題に対して呼ばれて、終われば去る。会社を愛さなくていいどころか、愛さないほうが機能する。この形が自分の性質と噛み合っている。

これまで複数の会社を渡ってきたことも、一つのプロダクトに腰を据える形が続かなかったことも、全部同じ方向を指していたのだと思う。欠点だと思っていたものが、実は適性だった。

経験が複利で効く仕事とは

複利で効くのは、持ち出せるものが貯まる仕事だ。

特定の会社でしか通じない知識は、転職すると消える。社内システムの癖、社内政治の地図、その会社だけの商流。どれも深く知っているほど価値があるように見えて、外に出た瞬間にゼロになる。

一方で、問題の型、評価設計の引き出し、人からの信頼は、どこへ行っても残る。その意味でコンサルは複利の効きが強い。案件ごとに違う業界の問題を解いて、型が増えていく。しかもあの人に頼みたいという指名は、会社ではなく個人につく。独立が最終形なら、その信頼こそが元本になる。

ただし逆側の複利も存在する。同じ場所に長く留まることで得られる利息だ。自分が設計したものが2年後3年後にどう生き残ったかを見届ける経験は、渡り歩いていると手に入らない。これは自分がまだ回収していないものだと思っている。

会社員を卒業する条件

FIREではなく、独立という意味での卒業。その基準は資産額ではなく事業収入で決まる。条件は3つだ。

・月の事業収入が生活費を超える月が6か月続く
・継続契約が2本以上ある。単発の当たりではなく、繰り返し来る状態
・資産が生活費の2年分ある。収入ゼロの月を耐える滑走路

3つ目はすでに達成している。必要な2年分は、かなりの余裕をもって上回っている。

つまり足りないのは資産ではなく、1つ目と2つ目だ。卒業のトリガーはいくら貯まったかではなく、雇われずに稼げることを証明できたかにある。資産をこれ以上積んでも、この項目は埋まらない。ここに気づけたことが、今回いちばん大きい。

祝うのは到達点だけにしない

資産の数字は結果であって、中身は判断の積み重ねだ。

積立を止めなかったこと。落ちた検定を適性の話にしなかったこと。消耗する勝負を降りると決めたこと。自分が何に削られるのかを、忠誠という言葉で言い当てられたこと。

祝うのを到達点だけにすると、数か月に一度しか祝えない。しかも次の節目に着いた翌日には、また次の数字が要るようになる。それは終わらない。

だからこの旅は、毎日お祝いということにする。

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