避難用のリュックに何を入れるか。持てる重さの上限から逆算する
防災リュックの中身を紹介する記事はたくさんありますが、そのとおりに詰めると、たいてい持って歩けない重さになります。リストを足し算していく作り方に無理があるからです。
先に決めるべきなのは重さの上限です。
持てる重さは体重の1割
避難で歩くことを前提にすると、背負える重さの目安は体重のおよそ1割です。体重60キロなら6キロ、50キロなら5キロ。これは平坦な道を短時間歩く場合の話で、雨のなかを夜に歩くなら、もっと軽くしたほうが現実的です。
この上限に対して、何が重いのかを並べてみます。
・水は1リットルで1キロ。2リットル持つと2キロ
・簡易トイレは1回ぶんが数十グラムでも、まとめると数百グラム
・モバイルバッテリー10000mAhは約200グラム
・ヘッドライトは100グラム前後
・レトルト食品は1食200グラム前後
水を2リットル入れた時点で、6キロのうち3分の1が埋まります。食事を3食ぶん入れるとさらに600グラム。ここまでで半分近くです。
つまり防災リュックは、何を入れるかを考える前に、水と食料でほぼ埋まる前提から始まります。
削るものと残すもの
重量に対して効果が大きいものから残していきます。
明かりは軽いわりに効果が大きい代表格です。両手が空くLepro 充電式LEDヘッドライトは100グラム前後で、避難所でも移動中でも使えます。重さあたりの働きでいえば最上位です。
簡易トイレも軽さのわりに効きます。避難所のトイレは早い段階で使えなくなることがあり、そのとき代わりがあるかどうかで消耗が変わります。PYKES PEAK 簡易トイレのようなセットから数回ぶんだけ抜いて入れておけば、重さは数百グラムで済みます。
逆に削れるのは、避難先に高い確率で用意されているものです。毛布や大量の食料は、持ち出すより現地で受け取るほうが早い場合があります。
泊まる可能性があるなら床対策
避難が一晩を越える見込みなら、床の硬さと冷たさが効いてきます。体育館の床で寝ると、翌日に体力がはっきり落ちます。
かさばるので優先度は低いのですが、車で移動できる場合や、在宅避難で家の中に居る場合は足踏み式エアーマットのようなものが効きます。徒歩で背負うなら諦めて、その重量を水に回すほうが合理的です。
持てる重さが決まっている以上、これは足し算ではなく取捨選択の問題です。
そもそも出るべきかを先に決める
リュックの中身より前に決めることがあります。家を出るのか、家の中で上の階に上がるのかです。
浸水想定が自宅の階数より低く、家屋倒壊等氾濫想定区域にも土砂災害警戒区域にも入っていないなら、無理に外へ出るより屋内にとどまるほうが安全な場合があります。その場合、リュックは要らず、必要なものを上の階へ運び上げる作業に変わります。
条件を入れて判定するなら避難タイミング判定を使ってください。住まいと浸水想定から、警戒レベルいくつで動くべきか、立ち退き避難と屋内安全確保のどちらかまで出ます。準備を始める時刻も逆算されます。
外に出る判断をするなら、風の強さも見ておいてください。風速体感シミュレーターで確かめられますが、風速25メートルを超えると、しっかり体を支えないと立てなくなります。その状態でリュックを背負って歩くのは現実的ではありません。移動は風が強まる前に終えるものです。
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