異動希望はどう出すか。社内転職という選択肢
いまの部署が合わないとき、転職の前に検討する価値があるのが異動、つまり社内転職だ。給与や退職金の連続性を保ったまま、仕事内容と人間関係を変えられる。転職ほどのエネルギーもリスクも要らない割に、環境が変わる効果は転職に近い。
異動が転職より優れている点と劣る点
優れている点。
・社内の信用貯金(実績・人間関係)を持ち越せる ・給与・等級・退職金が連続する。生活の激変がない ・社風や制度を知ったまま動けるので、外れ部署を引く確率を下げられる
劣る点。
・選択肢が社内にしかない。やりたいことが社内に存在しなければ成立しない ・元部署との関係が残る。円満に出る設計が要る ・会社そのものへの不満(給与水準・文化)は解決しない
不満の対象が「部署・上司・仕事内容」なら異動が効き、「会社そのもの」なら転職しかない。まずどちらの不満なのかを切り分けるのが最初の作業になる。
使える制度を確認する
多くの会社には、社内公募、FA制度、自己申告書、キャリア面談のどれかがある。まず人事ポータルを漁って、フォーマルな経路を確認する。公募制度は「上司の承認なしで応募できる」設計になっていることが多く、これが最大の武器になる。制度がない会社でも、評価面談の自己申告欄やキャリア希望欄は異動希望の正式な入口として機能する。
伝える順序を間違えない
異動希望でいちばん揉れるのが、伝える順序だ。
・公募制度がある場合。応募が先、上司への相談は制度のルールに従う。承認不要の制度なら、内定後に伝わる設計になっていることが多い ・制度がない場合。直属の上司に「キャリアの相談」として切り出す。不満のぶちまけではなく、「◯◯の仕事に挑戦したい」という前向きの形にする ・受け入れ先に事前に非公式で話を通しておく(ランチや1on1で)。受け入れ側が「来てほしい」と言っている状態を作ってから正式手続きに入ると、通る確率が大きく上がる
順序の原則は、味方を作ってから表に出すこと。根回しという言葉の印象は悪いが、実態は「サプライズをなくす」ことで、組織はサプライズに拒否反応を示す。
異動してもダメだったら
異動は一度使うと数年は使いにくいカードでもある。異動先でも同じ不満が再生産されたなら、それは部署ではなく会社との相性の問題で、次は転職を考える段階だ。頻繁に環境を変えること自体の是非はジョブホッピングの話にも書いた。
まとめ
・不満の対象が部署なら異動、会社なら転職。まず切り分ける ・社内転職は信用貯金と給与の連続性を保ったまま環境を変えられる ・公募・FA・自己申告など、フォーマルな制度をまず確認する ・受け入れ先に非公式に話を通し、味方を作ってから表に出す ・異動先でも同じ不満が出たら、会社との相性の問題。次は転職