高潮はなぜ起きるのか。満潮と重なると被害が跳ね上がる理由
台風のとき、風や雨ほどには注目されないのに、過去に大きな被害を出してきたのが高潮になる。仕組みを知ると、なぜ特定の場所と時刻だけ危険なのかが見えてくる。
高潮は津波とは別物
まず混同しやすいので分けておく。
・津波。地震などで海底が動き、海水そのものが押されて起きる波。天気とは無関係
・高潮。台風や低気圧によって海面の高さそのものが持ち上がる現象。気象が原因
高潮は波が来るというより、海面の基準が上がると考えたほうが近い。そこに通常の波が重なるので、堤防を越える高さになる。
2つの効果が足し算される
高潮を起こしているのは主に2つの力になる。
・吸い上げ効果。中心気圧が低いと、その分だけ海面が持ち上がる。周囲より気圧が1ヘクトパスカル低いと、海面はおよそ1センチ上がるという関係が目安として使われる。中心気圧950hPaなら、平年の1013hPaとの差で60センチ前後になる
・吹き寄せ効果。強い風が海水を岸に向かって吹き寄せる。こちらは風速の2乗に比例して効くので、風が2倍になれば効果は4倍近くになる
数字だけ見ると吸い上げは60センチ程度だが、吹き寄せは条件次第で数メートルに達する。被害の主役は吹き寄せのほうになる。
湾の形と風向きで決まる
吹き寄せが効くかどうかは、地形と風向きの組み合わせで決まる。
・南に開いた湾に、南寄りの強い風が吹き込む形がいちばん危ない
・湾が奥に向かって狭く浅くなっていると、集まった海水の逃げ場がなくなって水位が上がる
・遠浅の海岸も、水深が浅いほど吹き寄せが効きやすい
日本で高潮の常襲地帯とされる湾がいくつかあるのは、この条件を満たしているからになる。同じ勢力の台風が来ても、進路が湾の東側を通るか西側を通るかで、風向きが変わって被害がまったく違う。台風は反時計回りに風が吹き込むので、湾の西側を中心が通過すると南風が湾に吹き込む形になりやすい。
満潮の時刻が重なるかどうか
そして最後に効くのが潮位になる。
高潮による水位の上昇は、その時点の潮位に上乗せされる。同じ高潮でも、干潮の時間帯なら堤防内に収まり、満潮と重なれば越えることがある。潮位の差は場所によっては数メートルあるので、これは決定的な違いになる。
台風の接近予想時刻と、その地域の満潮時刻が近いときは、警戒の水準を一段上げたほうがいい。潮位表は気象庁のサイトで地点ごとに確認できる。
大潮の時期に台風が重なると、条件はさらに厳しくなる。新月と満月の前後は潮の満ち引きが大きくなるので、満潮時の水位そのものが高い。
避難の考え方が水平ではない
高潮で覚えておきたいのは、逃げる方向が横ではなく上になりうることだ。
浸水が始まってから遠くへ移動するのは危険で、頑丈な建物の上階へ移る垂直避難が有効な場面がある。ただしこれは事前に建物を決めておかないと機能しない。ハザードマップで自宅の想定浸水深を確認し、何階以上なら安全かを先に知っておく必要がある。
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まとめ
・高潮は津波とは別で、気圧による吸い上げと風による吹き寄せで海面そのものが上がる
・吸い上げは1hPaにつき約1センチ。被害の主役は風速の2乗で効く吹き寄せのほう
・南に開いた奥が浅い湾に、南寄りの風が吹き込む形がいちばん危険
・満潮や大潮と重なると水位が跳ね上がる。潮位表で時刻を確認しておく
・避難は水平だけでなく垂直も選択肢になる。事前にハザードマップで確認しておくこと
・実際の警報や避難情報は必ず気象庁と自治体の発表に従うこと
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