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台風の暴風域と強風域は何が違うのか。予報図の円の見分け方

台風情報の図には円がいくつも出てくる。赤い円、黄色い円、白い円。どれも大事そうに見えるが、意味が違う。毎年この時期に混乱するので整理しておく。

暴風域と強風域の境目は風速

まず、色のついた2つの円は風速で定義されている。

・強風域。平均風速15m/s以上の風が吹いているか、吹く可能性がある範囲。予報図では黄色い円で示される
・暴風域。平均風速25m/s以上の風が吹いているか、吹く可能性がある範囲。赤い円で示され、強風域の内側にある

15m/sと25m/sの差は、体感ではまったく別物になる。目安としてはこうなる。

・15m/s。傘がさせない。歩きにくい。トタン板や取り付けの甘い看板が動きはじめる
・20m/s前後。しっかり体を支えないと転倒する。自転車では走れない
・25m/s。何かにつかまらないと立っていられない。屋根瓦や雨戸が飛ぶ
・30m/s以上。走行中のトラックが横転することがある

つまり赤い円の中は「外に出る判断そのものを見直す領域」で、黄色い円は「風で物が動きはじめる領域」になる。黄色い円に入っているうちに買い出しや養生を終える、という段取りが現実的だと思う。

白い円と、その外側の線は別物

ここからが混同されやすいところになる。予報図には風速の円とは別に、進路予想を表す図形が出てくる。

・予報円。台風の中心が70%の確率で入る範囲を示す白い円。中心の位置の不確かさを表しているだけで、風の強さとは無関係
・暴風警戒域。予報円の外側を包む線で、台風が予報円のどこを通ったとしても暴風域に入るおそれがある範囲

自分の住む場所が予報円から外れていても、暴風警戒域に入っていれば備える必要がある。逆に予報円のふちにかかっているだけなら、中心が来るとは限らない。見るべきなのは外側の暴風警戒域のほうになる。

予報円そのものの意味は台風の予報円はなぜあんなに大きいのかに詳しく書いた。

暴風域がない台風は安全なのか

「暴風域を伴わない台風」という表現がニュースに出ることがある。これは風速25m/s以上の範囲が存在しない、という意味でしかない。

注意したいのは、台風の危険が風だけではないことだ。暴風域がなくても、次のような被害は普通に起きる。

・大雨。台風本体の雨雲だけでなく、台風が湿った空気を送り込んで別の場所に大雨を降らせることがある
・高潮。中心気圧が低いこと自体が海面を吸い上げる
・波浪。遠く離れていてもうねりが届く

とくに大雨は、台風が弱くても地形と風向きの条件が揃えば起きる。暴風域の有無は風の話だと割り切って、雨の情報は別に見たほうがいい。

大きさと強さは別の指標

もうひとつ紛らわしいのが、大型と強いの違いになる。

・大きさは強風域の半径で決まる。半径500km以上で大型、800km以上で超大型
・強さは最大風速で決まる。33m/s以上で強い、44m/s以上で非常に強い、54m/s以上で猛烈な

この2つは独立しているので、小さいけれど猛烈な台風も、大きいけれど強くない台風も存在する。大型と聞いて安心したり、小型と聞いて油断したりしないほうがいい。強さの階級と気圧の関係は何ヘクトパスカルからやばいのかに整理してある。

手を動かして確かめる

進路や勢力が条件でどう変わるかは、実際に動かすのが早い。海面水温や太平洋高気圧を設定して台風を育てられるシミュレーターを置いてある。

台風育成シミュレーター。発生位置を地図で指定して、勢力と進路の関係を見られる
台風進路シミュレーター。初代のほう

まとめ

・強風域は15m/s以上の黄色い円、暴風域は25m/s以上の赤い円。25m/sは立っていられない風
・予報円は中心位置の不確かさで、風の強さとは無関係。警戒すべきは外側の暴風警戒域
・暴風域がなくても、大雨・高潮・波浪の危険は残る
・大きさは強風域の半径、強さは最大風速。この2つは独立している
・実際の警報や避難情報は必ず気象庁と自治体の発表を確認すること