嫌な言葉をトイレに流すアプリ「みずにながす」を作った
嫌なことを言われた日のために、書いてトイレに流すアプリを作った。テキスト欄にモヤモヤを書いて「ながす」を押すと、メモが便器の渦に吸い込まれて消える。それだけのアプリだが、それだけでいい夜がある。
どこにも送信しない、が核
このアプリの設計でいちばん大事にしたのは、書いた内容が一切外に出ないことだ。入力はサーバーに送信されず、保存もされず、流した瞬間にブラウザの中から消える。画面にもそう明記した。
嫌だった言葉を書き出すという行為は、内容が誰かに見られる可能性が1%でもあると成立しない。日記アプリやSNSの下書きではなく「流すためだけの場所」を分けたのはそのためで、通信ゼロの静的ページという構成そのものが、このアプリでは機能になっている。
書いて手放す、という行為について
頭の中で反芻している嫌な言葉は、書き出すと少し外在化される。紙に書いて捨てる、破る、燃やすといった儀式が昔からあるのは、「手放す動作」を目で見ることに効果があるからだと思う。このアプリはそれをブラウザで再現したもので、流れていく渦を数秒眺める時間まで含めて設計している。
流し終わると「もう戻ってきません」「今日もおつかれさま」といった一言が出る。大げさな癒やしではなく、区切りの合図くらいの温度にした。
実装の話
例によって外部ライブラリなしの単一HTMLで、絵もすべてCSSで描いている。
・便器は上から見た構図。楕円のリムと、radial-gradientの水面 ・渦はconic-gradientで作った白い筋を回転させているだけ。流すときにopacityを上げてスピンさせる ・メモはCSSアニメーションで900度回転しながら中心へ縮んで消える ・水の音はWeb Audioでホワイトノイズを生成し、ローパスフィルタの周波数を1400Hzから220Hzへ落として「ゴーッ」という流水音にした。音声ファイルは使っていない
サイト全体を手作りテイストにリニューアルしたばかりなので、このアプリも同じ文法(白背景・手描き風のゆらぎ枠・マスキングテープ・蛍光マーカー)で揃えている。
まとめ
・嫌な言葉を書いてトイレに流す、それだけのアプリを作った ・書いた内容はどこにも送信・保存されない。通信ゼロの構成自体が機能 ・書いて手放す行為の外在化を、渦を眺める数秒まで含めて設計した ・絵はすべてCSS、音はWeb Audioで合成。素材ゼロの単一HTML ・みずにながすから。嫌なことがあった日にどうぞ